Assetto Corsa Rally 足回りセッティング超入門 第2回 ダンパー

ゲームマニュアル
  1. ダンパー編 ― 荷重移動のスピードをいじる回
  2. ダンパーメニュー整理
  3. 1. スローバンプ (Slow Bump)
    1. 1-1. 何をしているパーツ?
    2. 1-2. スローバンプを“増やす”とどうなる?
    3. 1-3. スローバンプを“減らす”とどうなる?
    4. 1-4. ありがちな症状と調整の方向
  4. 2. スローリバウンド (Slow Rebound)
    1. 2-1. 何をしているパーツ?
    2. 2-2. スローリバウンドを“増やす”とどうなる?
    3. 2-3. スローリバウンドを“減らす”とどうなる?
    4. 2-4. ありがちな症状と調整の方向
  5. 3. ファストバンプ (Fast Bump)
    1. 3-1. 何をしているパーツ?
    2. 3-2. ファストバンプを“増やす”とどうなる?
    3. 3-3. ファストバンプを“減らす”とどうなる?
    4. 3-4. 路面ごとの考え方
  6. 4. ファストリバウンド (Fast Rebound)
    1. 4-1. 何をしているパーツ?
    2. 4-2. ファストリバウンドを“増やす”とどうなる?
    3. 4-3. ファストリバウンドを“減らす”とどうなる?
  7. 5. ドライビング操作ごとの“効きどころ”
    1. 5-1. ブレーキング(進入)
    2. 5-2. コーナー中(ミッドコーナー)
    3. 5-3. 立ち上がり(アクセルオン)
    4. 5-4. 荒れた路面 / ジャンプ
  8. 6. 実戦向けダンパー調整の手順
    1. 6-1. ステップ0:ベースセットを決めておく
    2. 6-2. ステップ1:スロー系から触る
    3. 6-3. ステップ2:ファスト系で路面に合わせる
  9. 7. よくある失敗パターンと抜け道
    1. 7-1. 全部固めた結果、何が何だか分からなくなるやつ
    2. 7-2. 全部柔らかくして“フワフワ地獄”になるやつ
    3. 7-3. ダンパーで機械バランスを無理やりいじろうとする
  10. 8. 今回のまとめと次回予告
  11. セッティング関連記事

ダンパー編 ― 荷重移動のスピードをいじる回

前回は、

  • 車高(アジャスターリング / Ride Height)
  • スプリングの硬さ(Spring Stiffness)

この2つで 「足回りの土台と性格」 を作るところまでやった。

今回の主役は ダンパー(Dampers)
ダンパーの役割はざっくり言うと

荷重移動が起きる“その瞬間”(トランジェント)の挙動をコントロールするもの

スプリングやロールバーみたいに どのタイヤにどれくらい仕事をさせるか(機械バランス) を変えるパーツじゃなくて、

  • どれくらいのスピードで
  • どれくらいスムーズに

荷重を移動させるかを決める担当。

ここ勘違いして「アンダーだからダンパーで何とかするか」ってやり始めると、セッティング沼一直線になる。


ダンパーメニュー整理

ゲーム内で触るダンパー項目は、基本この4種類(前後それぞれ):

  • Slow Bump(スローバンプ)
  • Slow Rebound(スローリバウンド)
  • Fast Bump(ファストバンプ)
  • Fast Rebound(ファストリバウンド)

ざっくりいうと

  • スロー系 → ドライバー操作でじわっと起きる動き(ブレーキ・ステア・アクセル)に効く
  • ファスト系 → 路面からドカンと来る入力(ギャップ・縁石・ジャンプ着地)に効く

これを頭の片隅に置きつつ、それぞれもう少し踏み込んで見ていく。


1. スローバンプ (Slow Bump)

1-1. 何をしているパーツ?

スローバンプは

  • ドライバーの操作(ブレーキ・ステア・アクセル)でサスがゆっくり沈み込むときの抵抗
  • フロントなら「ブレーキでノーズが入るスピード」
  • リアなら「アクセルオンでリアが沈むスピード」

ここをコントロールしてる。

1-2. スローバンプを“増やす”とどうなる?

数値を上げる(硬くする)と:

  • サスペンションが簡単には沈まなくなる
  • 車体の動きがゆっくりになって、姿勢が安定しやすい

だけど、やりすぎると

  • 入力に対して車がモッサリ反応する
  • ノーズが入ってくれなくて、ブレーキしても曲がり始めない車 になりがち

1-3. スローバンプを“減らす”とどうなる?

数値を下げる(柔らかくする)と:

  • ブレーキでノーズがスッと入る
  • アクセルオンでリアが沈みやすく、トラクションが出やすい

というメリットがある反面、

  • ブレーキで前にドーンと荷重が乗りすぎてフロントが飽和しやすい
  • リア側は軽くなりすぎて進入で不安定になる

みたいな方向に転びやすい。

1-4. ありがちな症状と調整の方向

  • ブレーキした瞬間にノーズがドーンと入って怖い
    • → フロントのスローバンプを少しだけ増やす
  • ブレーキしてもいつまでも曲がり始めない
    • → フロントのスローバンプを少しだけ減らす
  • アクセルオンでリアが沈みすぎて、立ち上がりでグニャグニャする
    • → リアのスローバンプを増やして支えてあげる

ここでも一気に触らず、前後どちらか片側を 1〜2クリックだけ 変えるのが基本。


2. スローリバウンド (Slow Rebound)

2-1. 何をしているパーツ?

スローリバウンドは、

  • ブレーキ・ステア・アクセルのあとで、沈んだサスが元の位置に戻るスピード
  • ターンイン → ミッド → 立ち上がり… みたいに、コーナーの中で徐々に姿勢が切り替わるときの制御

を担当してる。

ここをいじると

  • 荷重をどれくらい長く残すか
  • 逆にどれくらい早く抜くか

が変わる。

2-2. スローリバウンドを“増やす”とどうなる?

数値を上げると:

  • 一度かかった荷重が、長く残りやすい
  • ロールやピッチがゆっくり戻るので、落ち着いた動き になる

でも、やりすぎると:

  • コーナーを抜けたあとも姿勢が戻り切らず、次の操作に対して重い
  • 荷重が抜けにくくて、タイヤのグリップ回復が遅れる

2-3. スローリバウンドを“減らす”とどうなる?

数値を下げると:

  • 荷重がさっと抜ける
  • 連続コーナーで、次の姿勢に切り替えるのが早くなる

ただ、下げすぎると:

  • 車が「フワッ → ゆらゆら」しがち
  • ピッチングやローリングがいつまでも収まらない

2-4. ありがちな症状と調整の方向

  • コーナー出口で、いつまでも車が起き上がらずモタつく
    • → フロントのスローリバウンドを少し減らす
  • 一度曲がり始めたら、車が起き上がる前にリアがすっぽ抜ける
    • → リアのスローリバウンドを少し増やして、荷重を残す
  • S字の切り返しで、姿勢の切り替えが遅い
    • → 前後ともスローリバウンドを微減して、動きを軽くする

3. ファストバンプ (Fast Bump)

3-1. 何をしているパーツ?

ファストバンプは、

  • 路面のギャップ
  • 大きめのバンプ
  • 縁石をガツンと踏んだ瞬間
  • ジャンプ着地

みたいな 急激で大きい入力でサスが一気に縮むとき の抵抗を担当してる。

3-2. ファストバンプを“増やす”とどうなる?

数値を上げると:

  • 大きい入力でサスがガツンと沈みにくくなる
  • 底付きしにくくなって、着地での衝撃がマイルド になることもある

けど、やりすぎると:

  • サスが動かなくなって、ギャップでタイヤが跳ねやすくなる
  • 荒れたグラベルだと、接地時間そのものが減ってトラクションダダ落ち

3-3. ファストバンプを“減らす”とどうなる?

数値を下げると:

  • サスがよく動いて、タイヤが路面をなぞりやすくなる
  • 荒れた路面での接地感がアップ

ただ、下げすぎると:

  • 大きい着地でストロークを使い切って、一気に底付き→グリップ喪失

3-4. 路面ごとの考え方

  • 荒れたグラベル・スノー
    • ファストバンプは弱め寄り
    • サスにちゃんと動いてもらって、タイヤを路面に貼りつかせる方向
  • フラットなターマック+縁石そこそこ
    • 中間〜やや強め
    • 底付き防止と、縁石ヒット時の姿勢乱れを抑える感じ
  • ジャンプ多めのステージ
    • デフォルトより ちょい強め にして、着地でストロークを守る

4. ファストリバウンド (Fast Rebound)

4-1. 何をしているパーツ?

ファストリバウンドは、

  • ギャップや着地で一気に縮んだサスが
  • 一気に伸びるとき のスピードをコントロールするパーツ。

ここを雑に触ると

  • いつまでもピョンピョン跳ねる車
  • 逆に“伸びきり”状態でタイヤが路面をなぞれない車

になりがち。

4-2. ファストリバウンドを“増やす”とどうなる?

数値を上げると:

  • サスが一気に伸びるのを抑える
  • 着地後に車がドーンと持ち上がるのを防げる

でも、上げすぎると:

  • サスが伸びきる前に次のバンプが来て、ストロークを使い切れない
  • タイヤが路面から離れがちになって、接地時間が減る

4-3. ファストリバウンドを“減らす”とどうなる?

数値を下げると:

  • サスが素早く伸びて、連続バンプでもストロークを使いやすい
  • 荒れた路面での接地感が出やすい

ただ、下げすぎると:

  • 着地 → 伸び → もう一回縮む…のループで、ポンポン跳ねる車 になる

5. ドライビング操作ごとの“効きどころ”

実際にセッティングするとき、

どの挙動を直したくて、どのツマミを触るのか

ここが分かってないと適当に数値をいじるだけのゲームになる。

大まかに分けるとこんな感じ。

5-1. ブレーキング(進入)

気にするのは主に フロントのスローバンプ / スローリバウンド

  • ブレーキ踏んだ瞬間にノーズが入りすぎて怖い
    • → フロントのスローバンプを少し増やす
  • ブレーキしてもいつまでも曲がり始めない
    • → フロントのスローバンプを少し減らす
  • ブレーキを抜いた瞬間に、リアがフッと軽くなってスピンしそうになる
    • → リアのスローリバウンドを少し増やして、荷重が抜けるスピードを抑える

5-2. コーナー中(ミッドコーナー)

ここは 前後のスローリバウンド がメインプレイヤー。

  • 一度ロールしたらなかなか戻らなくて、ライン修正が効かない
    • → 前後のスローリバウンドを少し減らす
  • 連続する中速コーナーで、いつも同じ側のタイヤからすべり始める
    • → 荷重が残りすぎてる側のスローリバウンドを少し減らす

5-3. 立ち上がり(アクセルオン)

ここは リアのスローバンプ / スローリバウンド が効く。

  • アクセルオンでリアが沈みすぎて、トラクションは出るけど姿勢がグニャグニャ
    • → リアのスローバンプを増やして支える
  • 立ち上がりで早めにアクセルを開けたいのに、リアがすぐ抜けていく
    • → リアのスローリバウンドを増やして、荷重を残す

5-4. 荒れた路面 / ジャンプ

ここは ファストバンプ / ファストリバウンド の仕事。

  • ギャップでタイヤがすぐ跳ねて、ハンドルも暴れる
    • → ファストバンプを弱める方向を試す
  • ジャンプ着地で一発目は耐えてるけど、そのあと車がピョコピョコ跳ねる
    • → ファストリバウンドを増やして、伸びるスピードを抑える
  • 連続バンプで底付きはしないけど、車が落ち着く前に次のバンプが来る感じ
    • → ファストリバウンドを少し減らして、サスに素早く伸びてもらう

6. 実戦向けダンパー調整の手順

こんな手順で触るとハマりにくい。

6-1. ステップ0:ベースセットを決めておく

  • 第1回で作った 車高+スプリングのベースセット を用意
  • ダンパーは一旦「デフォルト or ごく近い値」に戻す

先にスプリング側の性格を決めておかないと、ダンパーで何を補正してるのか分からなくなる。

6-2. ステップ1:スロー系から触る

  1. テスト用のステージを1本決める(できれば中速〜高速が混じったやつ)
  2. フロントのスローバンプだけを 1〜2クリック動かしてテスト
  3. 元に戻して、次はリアのスローバンプだけを 1〜2クリック動かしてテスト
  4. 同じように、スローリバウンドを前後別々に触って挙動メモ

このときのポイント:

  • 一度に変えるのは「片側・1項目・1〜2クリック」まで
  • 各変更ごとに 2〜3本走る
  • 走り終わったら、「良くなった/悪くなった」を一言でもいいからメモ

6-3. ステップ2:ファスト系で路面に合わせる

スロー側で「ブレーキ〜旋回〜立ち上がり」の挙動がある程度気に入ったら、
今度は路面とステージに合わせてファスト側をいじる。

  • 荒れたグラベル → ファストバンプ弱め、ファストリバウンド中間〜弱め
  • フラットなターマック → ファストバンプ中間〜やや強め、ファストリバウンド中間
  • ジャンプ多め → ファストバンプやや強め、ファストリバウンドも少し強め

ここでも、一度にガラッと数値を変えず、

  • 「ファストバンプ 2クリック」→テスト
  • 「それでも跳ねるなら、次はファストリバウンド 1〜2クリック」

みたいに、順番に動かす のがコツ。


7. よくある失敗パターンと抜け道

7-1. 全部固めた結果、何が何だか分からなくなるやつ

ありがちなのが、

  • 「安定させたい」→全部ちょっとずつ固める
  • → 車がぜんぜん動かなくなって、滑り出しも唐突
  • → 何をどう戻せばいいか分からない

こうなったら一回落ち着いて、

  • スロー系・ファスト系ともにデフォルト付近まで戻す
  • それから「気になってる症状」に対応する項目だけを順番に触り直す

これが一番早い。

7-2. 全部柔らかくして“フワフワ地獄”になるやつ

逆に、

  • 「グリップ欲しい」→全部柔らかくする
  • → 荷重移動が収まらなくて、ずっとフラフラ

みたいなパターンもある。

この場合もやることは同じで、

  • スローリバウンドを中心に、デフォルト付近まで戻す
  • そのうえで、ピッチングやローリングが気になる方向だけ ちょい固め

7-3. ダンパーで機械バランスを無理やりいじろうとする

「ダンパーは機械バランスではない」

  • アンダー/オーバーそのものは スプリング+アンチロールバーで決める
  • ダンパーはあくまで、そのバランスで どう荷重を動かすか を整える役

ここを守らないと、

一部のコーナーだけ合うけど、他が全滅

みたいな意味不明セットが出来上がる。注意ポイント。


8. 今回のまとめと次回予告

キモだけもう一回並べると:

  • ダンパーは 荷重移動のスピードと滑り出し方をコントロールするパーツ
  • スプリングやロールバーで決めた機械バランスを、
    どれだけ穏やかに/どれだけキビキビ動かすか を調整するもの
  • いじるときは「片側・1項目・1〜2クリック・同じステージでテスト」が鉄則

次回は、足回りシリーズラストとして アンチロールバー&アクスル編

  • ロール量
  • 前後グリップの配分
  • ラリー特有の「硬くしすぎない」考え方

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