「タイム伸びない…これ、セッティングが悪いの? それとも自分?」
Assetto Corsa Rallyやってると、一回はこの悩みにぶち当たるじゃん?
いきなりバネだのデフだのいじり始める前に、まずは考え方の土台を一回整えとこ。
この記事では、
- セッティングってそもそも何者?
- ラリーとサーキットで何が違うの?
- どんな時にセッティングを触るべき?
- 「セッティングが悪い」のか「自分の運転が悪い」のか切り分けるコツ
この4つを、まとめてく。
なぜまず「セッティング」じゃなくて「考え方」からなのか
Assetto Corsa Rallyは、かなり物理寄りの挙動で作られてるタイプ。
サスやデフ、空気圧をちょっと変えるだけで、マジで動き変わる。
だからこそ、
「よく分かんないけど、とりあえず全部ちょっとずついじるか〜」
ってやると、ほぼ確実にセッティング沼行き。
セッティングって、数字さえ覚えれば強くなる魔法じゃなくて、
- どの路面で
- どのステージを
- どんな走り方をしたいか
この3つが決まってて初めて“ハマる”ものなんだよね。
だから最初の一歩は、
- 「どんな時にセッティングを疑うべきか」
- 「どこまでが自分のドライビングの仕事か」
ここを切り分ける“考え方”を決めるところからスタートするのが安定。
セッティングとは何か?
ゲーム内セッティング画面で触れる主な項目
細かい数値の意味は別記事で掘るとして、まずは「どのへんを触るゲームなのか」ざっくり整理しとく。
- 足まわり系
- 車高
- スプリング(バネ)
- ダンパー(減衰)
- アンチロールバー(ロールのしやすさ)
- タイヤ系
- コンパウンド(グラベル用・ターマック用など)
- 空気圧
- 駆動系
- デフ(LSD:加速・減速・イニシャル)
- ギア比(どの速度域を使いやすくするか)
- ブレーキ系
- ブレーキバランス(前後比)
- ブレーキパワー(全体の効き具合)
Assetto Corsa Rallyでは、このへんのツマミを使って
「クルマの性格を、自分とステージに合わせてチューニングする」
のがセッティングってイメージでOK。
セッティングの役割=「速さ」+「安定感」+「自分との相性」
セッティングの方向性って、ざっくり分けるとこんな感じになる。
- 純粋な速さを取りに行く方向
→ タイム優先。ピーキーになる代わりに限界が高いセット - 安定感・リスク低減を優先する方向
→ タイムはちょい妥協する代わりに、ミスやクラッシュを減らすセット - 自分の好みに合わせる方向
→ 理論値よりも「運転してて気持ちいい」「怖くない」を優先
ラリーゲーム、とくにAssetto Corsa Rallyみたいな挙動ガチ勢だと、
- 「1本の理論タイム」だけじゃなく
- 「何本も走ったときの平均タイム」
- 「完走率」や「クラッシュ率」
ここまで含めてセッティングの“良し悪し”になってくる。
ラリーとサーキットでのセッティングの違い
サーキットの考え方がそのまま通用しない理由
サーキットとラリー、同じレースゲームだけど前提がだいぶ違う。
サーキットだと:
- 同じコースを何周も走る
- 路面はだいたいフラット&均一
- ブレーキポイントやラインをミリ単位で詰める
- 「限界ギリギリで安定するセット」が正義になりがち
ラリーだと:
- 多くはワンショット、もしくは本数少なめのステージ勝負
- グリップがコーナーごとに変わるのが当たり前
- 路面が荒れてる・ギャップ・ジャンプ・ブラインド多数
- 視界も悪いし、次のコーナーが見えない区間も多い
つまり、ラリーは
「限界ギリギリを攻め続けるゲーム」っていうより、
「どんな嫌な状況でもクルマが裏切らないゲーム」
の方が近い。
だから、サーキットで速い“バキバキに締めたセット”をそのまま林道ステージに持ってくると、
- ちょっとギャップ踏んだだけで姿勢ブッ壊れる
- ちょい踏み増しただけでリアが抜けて谷底コース
みたいな地獄マシンになりがち。
ラリー用セッティングの優先度イメージ
ラリーで考えるセッティング優先度は、こんな順がオススメ。
- 多少ミスっても生き残る安定感
- ブレーキをちょい強めに踏んでも即スピンしない
- ギャップで浮いても、着地で大暴れしない
- 路面変化への許容度
- 荒れたグラベル → サス柔らかめ・車高高めで衝撃を吸わせる
- フラットなターマック → 少し硬めでもレスポンス重視方向
- その上での純粋な速さ
- 上2つがある程度クリアできてから、「あと数秒」を削るセットを詰める
よくある勘違いが、
「ロールするクルマ=ダメなセットだから、とにかく固めてロール殺す」
ってやつ。
ラリーだと、
- 少しロールさせて荷重をちゃんとタイヤに乗せる
- サスがストロークして路面の凹凸を吸う
この“ちゃんと仕事するロール”が大事だったりする。
どんな時にセッティングが必要になるのか?
トリガー① 路面・ステージのキャラが大きく変わった時
これはもう鉄板トリガー。
- グラベル → ターマックに変わった
- 荒れまくり林道 → 比較的フラットな山道
- タイトなヘアピン連続 → 中高速コーナー主体のステージ
こんなレベルでキャラ変わってるのに、
「とりあえず前のステージのセットのまま行くか〜」
ってやる方が不自然。
ざっくりの方向性としては、
- 荒れたグラベル系ステージ
→ 車高高め、サス柔らかめ、ロール許容多め - フラット寄りターマック系ステージ
→ 車高低め、サスやや硬め、レスポンス重視
みたいに、まずは路面に合わせた“ベースの型”を決めてあげる感じ。
トリガー② 同じ場所で同じミスを繰り返す時
これもセッティングを疑うサイン。
- 毎回、同じ下りコーナー進入でリアがスパッと抜ける
- 毎回、同じ減速ポイントでだけフロントがロックしがち
- 立ち上がりで、どんな踏み方してもホイールスピン祭り
こういうのを、
- ブレーキポイントを変えたり
- 操作をマイルドにしたり
- ラインを何パターンか試したり
しても、挙動がほとんど変わらないなら、
その区間に対して、クルマ側の性格が合ってない
って判断してOK。
トリガー③ タイムは安定してるのに、どうしても詰め切れないセクションがある時
数本走ってみて、
- 全体のタイムはそこそこ揃ってきた
- けど、特定のセクションだけ毎回大きく遅れてる
リプレイやゴーストで見直しても、
- ラインをこれ以上攻めると、もうクラッシュ一直線
- ブレーキポイントもそこそこ攻めてて、これ以上は危険域
みたいな“限界感”があるなら、
ドライバーの根性不足ってより、セッティングの限界に当たってる
可能性高め。
この段階で、初めて
- 足回りのバランス
- デフやギア比
- ブレーキバランス
あたりを、そのセクション向けに微調整していく感じ。
トリガー④ 走行本数が増えても「怖さ」が全然減らない時
普通は、同じステージを何本か走ると、
- 「ここはもうちょい踏める」
- 「ここはまだ余裕あるな」
っていう“慣れ”が少しずつ出てくる。
それがなくて、
- 何本走っても、特定の区間がずっと“命がけゾーン”のまま
- ミスしなくても、とにかく怖いだけで楽しくない
こういう状態なら、
セッティングがピーキーすぎて、ドライバーに対して要求が高すぎる
パターンも多い。
- 車高を少し上げる
- サスをちょい柔らかくする
- ブレーキバランスを前寄りにして安定方向に振る
みたいな“一段階ぬるめの性格”に振るのも全然アリ。
セッティングが悪い? vs ドライビングが悪い?見分けるコツ
ここが一番モヤモヤするところ。
「どっち直せばいいの…?」問題を、ちょっと整理してみる。
チェック① 操作をソフトにしたら挙動は変わる?
同じコーナーで、こんな感じの“お試し走行”してみて:
- ブレーキを少し早めから、じわっと長めに踏む
- ステアをゆっくり切ってみる
- アクセルオンを気持ち遅らせて、一気に踏み込まない
その結果、
- これだけでクルマがけっこうマイルドになった
→ 主犯はドライビングの方 - 入力を優しくしても、やっぱりいきなり暴れ回る
→ セッティングが尖りすぎてる可能性大
入力をソフトにしても裏切ってくるクルマは、
「ドライバーに対して要求スペック高すぎ」
って思ってOK。
チェック② ミスのパターンはバラバラ?それとも毎回同じ?
ミスの仕方もヒントになる。
- 1本目:進入オーバーラン
- 2本目:立ち上がりスピン
- 3本目:ブレーキ早すぎ
みたいにミスの種類がバラバラなら、
まだラインもブレーキポイントも固まってなくて、
ドライビングの再現性が足りないだけ
ってことが多い。
逆に、
- 何度走っても、同じコーナー進入でだけリアが抜ける
- 毎回、同じ減速ポイントでだけフロントがロック
みたいに、ミスのパターンがほぼ同じなら、
- ブレーキバランス
- サスの前後バランス
- デフ設定
このへんを疑っていくタイミング。
チェック③ タイムのブレ幅を見る
これも超シンプルだけど効く指標。
- ベストラップとの差が あまりなく揃ってきた
→ ドライビングはそこそこ安定してきたゾーン
→ ここから先の不満は、セッティングで解決できる余地アリ - ベストとの差が 大きい
→ 走りそのもののバラツキがまだデカい
→ セッティングいじる前に、まずは走り込みで再現性アップ優先
ラリーは路面要素もあるから周回レースほどキッチリ比較しづらいけど、
「自分なりに同じくらい攻めたつもりの走り」
だけピックアップしてタイム差を見ると、けっこうハッキリ傾向出る。
チェック④ リプレイで「入力」を観察する
リプレイや外部ツールでステア・ブレーキ・アクセル見返すのもアリ。
- ステアがカクカク&修正舵だらけ
→ ドライビングが雑 or クルマがピーキー。まずは操作を丸くする練習ターン - 常にカウンター多めで、ヨー角がデカい状態が続いてる
→ リアが出やすいセットすぎるかも。デフ・ARB・ダンパーを安定方向に振る候補 - アクセルをちょい踏みしただけでホイールスピン祭り
→ デフのパワー側・ギア比・空気圧あたりが攻めすぎ
さらに、上手い人のゴーストやリプレイと比べてみると:
- ブレーキ開始はほぼ同じなのに、自分だけ全然止まらない
- ラインは似てるのに、立ち上がりで毎回じわ〜っと離される
みたいな差の出方から、
- 「ブレーキセットが甘い」
- 「ギアやデフが合ってない」
って推理もしやすくなる。
実践用チェックリスト
最後に、今すぐ使える簡易チェックリスト置いとく。
走る前に決めておくこと
- 車種ごとにベースセットを1つ決める
- まずはそのセットで、同じステージを3〜5本走る
- 各本の:
- タイム
- 主なミスの内容
をざっくりメモ
走り終わった後に自分へ聞く質問
- Q1:一番怖い区間はどこ?
→ それは「路面が見えないから」?「車が暴れるから」? - Q2:毎回同じミスをしてる場所ってある?
→ あるなら、操作を変えても同じ挙動が出る? - Q3:タイムのブレ幅はどれくらい?
→ 揃ってる? それともバラけてる?
この3つをチェックして、
- まだミスの種類がバラバラ&タイムもブレまくり
→ ドライビング優先で練習するターン - ミスは限定的で、タイムもそこそこ揃ってきた
→ その区間に効くセッティング項目をピンポイントで触るターン
って感じで分けると、
「なんか合わないから全部ちょっとずつ触る」っていう沼からはだいぶ抜け出しやすくなる。
まとめ|セッティングの前に“判断基準”をセットしよ
ここまでをサクッとまとめると、
- セッティングは魔法の数値じゃなくて、
「路面」「ステージ」「自分の走り方」に合わせるためのツマミ - ラリーでは、
「限界ギリギリで速いセット」より、
多少ミスっても裏切らない“安定セット”がまずは正義 - いきなり全部いじるんじゃなくて、
- タイムのブレ幅
- ミスのパターン
- 操作を変えた時の挙動の変化
を見ながら、
「今はドライビングのターンか、セッティングのターンか」を切り分ける。
この判断基準が一回頭に入ってると、
「とりあえずスプリング2クリック落としてみた」
みたいな、意味の薄いセッティング遊びがだいぶ減る。
次のステップとしては、
- タイヤと空気圧をどう考えるか
- ブレーキバランスの決め方
- サス・デフをどの順番で触るか
みたいな項目別の具体的な話に入っていくつもり。
そこまで行けば、Assetto Corsa Rallyのセッティング、
「分からんから怖い」から「ちょっとずつ自分好みに寄せてくの楽しい」に変わるはず。
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