【ゲーム紹介】Flashpoint Campaigns: Southern Storm|冷戦1989年の本格ヘクス戦術級

ゲーム紹介

冷戦末期の西ドイツでNATOとワルシャワ条約機構が本気でぶつかったらどうなるか。その“もしも”を、ヘクスとカウンターで徹底的にシミュレートしたのが『Flashpoint Campaigns: Southern Storm』。WEGO式ターンと指揮遅延システムで、机上演習レベルの作戦立案を味わえるガチめの現代戦ウォーゲーム。ヘビーだけどハマると抜け出せないタイプの一本。

基本情報

項目内容
ゲームタイトルFlashpoint Campaigns: Southern Storm
デベロッパーOn Target Simulations
パブリッシャーMatrix Games
ジャンルグランドタクティカル現代戦ウォーゲーム(ターン制ストラテジー / WEGO)
発売日2023年4月20日(PC)
対応言語英語のみ(日本語は非対応)
価格(Steam定価)6,500円

どんなゲーム?

舞台は1989年前後、冷戦クライマックスの南ドイツ周辺。もしNATOとワルシャワ条約機構の緊張が本物の第三次世界大戦に発展したら……っていう「もしもシナリオ」を、かなりガチ寄りのスケールで描いてる。

扱う部隊は小隊〜中隊クラスの戦車、歩兵戦闘車、歩兵分隊、偵察部隊、工兵、対空・対戦車部隊、ヘリコプター、さらにオフマップ砲兵や航空支援まで。プレイヤーは大隊〜旅団、時には連隊クラスの指揮官ポジションになって、どの部隊をどこに動かして、どこで敵を迎え撃つかを組み立てていく感じ。

マップは1ヘクス500mくらいで、20km×15km級の広さをカバー。時間スケールも4〜24時間の戦闘を扱うから、いわゆる「一個戦闘」を丸ごと担当するイメージに近い。局地戦じゃなくて作戦レベル寄りの戦術級って感じのポジション。

システムの肝は「非同期WEGOターン」。こっちが命令を出したあと、一定時間分の戦闘がまとめて同時進行で解決されるスタイル。しかも部隊ごとに指揮遅延があって、「命令を送ったけど、届くのは◯分後」みたいなラグをちゃんとシミュレートしてくる。命令出し直しもすぐには反映されないから、先を読んで布陣しておかないと痛い目を見るやつ。

さらに部隊ごとのSOP(スタンダード・オペレーティング・プロシージャ)も設定できて、「敵を見つけたら自動でどう動くか」「どのレンジまで撃ち合うか」みたいな行動方針を細かく調整できる。ここを詰めるほど、自分好みの“軍隊の性格”になっていくのが楽しいポイント。

ゲームとしてはかなり情報量多めで、LOS(視界)、電子戦、航空優勢、士気や練度、地形・天候、煙幕や地雷原まで全部シミュレートしてくる。ただ、その分マップオーバーレイやレンジリング、各種ダイアログが充実していて、慣れてくると情報の海から必要なデータだけ抜き出す“参謀ムーブ”ができるようになる。

収録されているのは南ドイツの実在エリアをベースにした40枚以上のマップと、1980〜1989年の装備を使う各国軍。アメリカ、フランス、カナダ、西ドイツ、ソ連、東ドイツ、チェコスロバキアなどが参戦していて、シナリオやキャンペーンもかなり豊富。ソロプレイはもちろん、オンラインPvPやPBEM++にも対応していて、じっくり対人戦を回すこともできる。

シナリオエディタとキャンペーンエディタも内蔵されていて、自作シナリオや改造データもOK。データテーブルやグラフィック、サウンドまでいじれる“本格派ツールキット”になってるのも、ウォーゲーマー的にはかなり熱いところ。

コミュニティの反応は?

Steamの評価は「非常に好評」レンジで、レビュー数こそ多くないけど、全体としてはポジ寄りな空気。ニッチな現代戦ウォーゲームとしてはかなり評価高めなポジションに収まってる感じ。

好評なポイントとしてよく挙がるのが、まずシミュレーションの深さ。兵器データや編制、指揮系統のモデル化が細かくて、「Cold War期の西ドイツ戦場をここまでちゃんと作ったゲームは貴重」って声が結構多い。前作『Red Storm』からUIやシステムもかなりブラッシュアップされていて、「やってることは重いのに、前より遊びやすくなった」というレビューもよく見かける。

あと、300ページ級の分厚いマニュアルもコミュニティではネタにされつつ人気。PDF版に加えて、物理版だとハードカバーのフルカラー本が付くので、「ゲーム本体と同じくらい読む価値ある資料」って感じで楽しんでる人も多い。

一方で、批判的な意見としては「UIがまだゴチャついていて直感的とは言いづらい」「情報量が多すぎて最初はExcelを眺めてる気分になる」「チュートリアルを終えるまでが長い」とか、そのあたりの“取っつきにくさ”がよく挙がるポイント。Redditでも「理想のウォーゲームってより、完璧な軍事Excelシム寄り」みたいなコメントがあったりする。

ただ、発売後もアップデートがかなりマメで、UI改善やログ表示の強化、新シナリオ追加なんかが継続して入っている。長く付き合うタイプのゲームだけに、地道に作り込んでいく姿勢も好意的に受け止められてる印象。

オススメや期待ポイント

一番の推しポイントは、やっぱり「指揮官ロールプレイ」がめちゃくちゃ捗るところ。

・命令が届くまでタイムラグがある
・部隊ごとにSOPで性格付けできる
・視界や通信状況で情報が制限される

このへんの仕組みが合わさることで、「完璧にコントロールする」というより「不完全な情報の中で最善を尽くす」タイプのゲーム体験になってる。うまくハマると、数時間にわたる戦闘の流れを読み切って、狙ったタイミングで包囲が決まったときの気持ちよさがエグい。

マップとシナリオのバリエーションもかなり豊富で、南ドイツ各地の地形の違いがよく出てる。開けた平地で戦車戦をやるか、森と小村だらけのエリアで歩兵主体の戦いになるかで、編成も戦術もガラッと変わるから、同じ国・同じ師団でもシナリオごとに新しい遊び方が見つかる。

さらに、シナリオ/キャンペーンエディタとモッディング対応のおかげで、コミュニティ製のコンテンツを取り込める余地も大きい。公式もアップデートで新シナリオを追加しているし、「しばらく寝かせてから戻ってきたら、また新しい戦場が増えてた」というタイプの育ち方をしている。

ウォーゲーム初心者に全力でオススメ、というよりは

  • 冷戦末期〜1980年代の欧州戦場が好き
  • ヘクス&カウンター系ウォーゲームが気になっている
  • 多少の不親切さより、シミュレーションの深さを優先したい

こういう人にぶっ刺さるタイプの一本。日本語非対応+マニュアル前提な作りなので多少ハードルは高いけど、そのぶんハマったときのリターンもかなり大きい。

まとめ

『Flashpoint Campaigns: Southern Storm』は、グラフィックで派手に見せるタイプじゃなくて、「情報とシステムで殴ってくる」系の現代戦ウォーゲーム。

冷戦期の編制・兵器・地形を丁寧に再現しつつ、指揮遅延や情報の不完全さまでゲームに落とし込んでいるから、プレイしていると自然と司令官目線になっていく。部隊が思った通り動いてくれないストレスも含めて楽しめるなら、かなり唯一無二の体験になるはず。

逆に、「ユニットをリアルタイムに細かく動かして爽快に撃ち合いたい」「日本語でサクっと遊びたい」というニーズにはあまり向かない。でも、じっくり腰を据えて作戦級レベルの現代戦を味わいたいなら、しっかり応えてくれる一本。

重厚な冷戦ウォーゲームを探してるなら、候補に入れておいて損はないタイトル。

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